自社の外部環境、内部環境を分析し、問題点がどこに存在するのかを見極める事は、経営者の非常に重要な役割の一つです。
「問題」とは、「あるべき姿」と「現状」とのギャップのことを言います。よく「うちの社員は問題意識がない」という嘆きを耳にしますが、その理由には
1)あるべき姿が明確でない(経営者と共有できていない)
2)できていると錯覚・誤解している
3)わかっていてもやらない
等が考えられます。自社の社員はどの理由で問題意識が持てていないのかを明確にし、対処していかなければなりません。
それでは、経営者自身が問題形成力を持ち、社員が正しく問題意識を持つにはどうしたらいいでしょうか。
まず第一に、
「あるべき姿を具体的に明確にする」
事が必要です。あるべき姿が明確でないと問題意識は起こりません。
マナー等の小さな問題には始まり、会社の目指す道に至る迄、大小様々な「あるべき姿」を明確にして、経営者・経営幹部だけでなく、社内全体の共通認識とする事が、問題形成力を持つ第一の条件と言えます。
次に必要なのは、
「現状を正しく把握する」
事です。あるべき姿に対し、現状は一体どのようであるのかを明確にする為には、徹底的に現状を数値化する事が望まれます。数値ほど明確なものさしはありません。このものさしが人によって異なると、経営者の感じる問題を、全社員が問題とは感じない、という現象が現れるのです。
最後に、
「ギャップがあることをその場で実感させる」
事が必要です。ここで重要なのは「その場で」という事です。
例えば社内にゴミが落ちていて、その横を素通りする社員がいた場合、後になって「さっきゴミを拾わなかっただろう」と言われても、その社員はそこにゴミが落ちている事実(問題)に気付いていないのですから、何を言われているかさえわからない、という事になりかねません。素通りしたその場、その瞬間に注意、指摘する事により、その社員は振り返ってそこにゴミがある事を認識し、その事に気が付かなかったり無視した自分を反省する事ができるのです。
これらの3つの事を実行する事により、「問題意識」を持つ、更には習慣化する事が実現できます。
また経営者にはこれ以外に
「適切な問題の優先順位付け」
が重要です。会社には様々な問題が山積みしています。これらの問題を一度に解決できるに越した事はないのですが、現実的には困難と言わざるを得ません。その際に必要なのが「優先順位付け」の能力です。今何が最も重要な問題かを見極める事が重要なのです。